■ はじめに

 JMC会場にて、1/32サンダーボルトがハセガワから予告された。これまで1/32リニューアルはタミヤを含めても枢軸国ばかりで、連合国機、中でもT−ボルトの大大大ファンの私としては大変嬉しい。同時発表のフォローミー・ジープとも、ハセガワの意気込みを十分に感じる。それに少しでも応え、よりよきキットの開発を願い、以下の駄文を記す。

 さらに付け加えれば、某国の喇叭を商標とする新興メーカーから同一スケール同一機種の発売がアナウンスされた。これまでの例から、出来は全く期待できない。ハートとセンスが欠けているからだ。だから、バッティングしたとして、値段が多少高くても、みんな出来のいい方のキットを買うにきまっている。是非何としてもハセガワには頑張ってほしい。発売中止だけは避けてほしい。悲痛なほどの願望を込め、某メーカー製とは雲泥の差の素晴らしいキットが発売されることを、切にお願いする次第である。


■ サンダーボルトの胴体平面形

 ハセガワには申し訳ないが、タミヤ1/48のキットは、後発の利もあり総合的に見て1/48のベストキットと言える。特に胴体側面形は寸法的にも完璧である。ぜひ1/32新キットの設計にあたっては参考にして頂きたい。ただし、胴体平面形に関しては間違っており、このキット唯一ともいっていい欠点となっている。実はハセガワ1/48キットは正確なのだが、1/32でタミヤの轍を踏まぬよう、あえて指摘したい。

 画像−1のN型をご覧いただきたい。画像−2は分かり易いよう縦に圧縮したもの。画像−3はB型であるが基本形は同じだ。これらで明らかなように、前列エンジンからコクピット後端までの胴体幅は一定で、それはダブルワスプR−2800の直径ぎりぎりのサイズである。なお、これら画像は、本をデジカメ撮影したもので歪みがある。


画像−1  Warren M. Bodie著 "THUNDERBOLT" Widewing Publications 序文p.15



画像−2



画像−3 旧版 世界の傑作機 no.112 特集P-47D 文林堂 p.20


 レイザーバック型では、キャノピ後方の胴体の背が細く絞り込まれている。


■ ハセガワ1/48サンダーボルト

 もし1/32新キットが、ハセガワ1/48キットをそのまま1.5倍に拡大したものとなるのであれば、要改善点を2つ指摘したい。

 1つは前述のとおり胴体側面形で、ハセガワ1/48は上下高さが不足している。ここはタミヤが数値、形状イメージとも完璧である。

 2つめは胴体の腹の部分、増加燃料タンクをぶら下げるあたりで、キットは横に丸くふくらんでいる。画像−4、5を見て頂きたい。ここは中央にターボチャージャーへの空気ダクトとその両脇に排気ダクトが通っているので、構造的に横にふくらむ要因はない。一方側面形で下にふくらんでいるのは、胴体着陸に備えたスキッドと増槽/爆弾ラックがダクトの下部に納められているのである。

 改めて画像のパネルラインに着目すると、キットのように横に広がってなく、この部分が意外と横にスリムなことが分かる。タミヤもここはミスしている。



画像−4  Warren M. Bodie著 "THUNDERBOLT" Widewing Publications p.410



画像−5 Lou Drendel著 "Walk Around P-47 Thunderbolt" Squadron/Signal Publications p.46


■ レイザーバック

 いずれレイザーバック型も発売されることを期待しているが、その場合、キャノピ平面形に十分注意してほしい。画像−3で分かるように、可動部キャノピの前から2番目の窓枠部分が一番ふくらんでおり、キャノピ全体として紡錘形をしている。そしてその後方はきゅっと絞り込まれている。また、可動部キャノピ下端の前部が外に折れ曲がっているのも、見落とされがちなポイントである。

■ その他

 以下は、一模型マニアの願望ということで、軽く読み飛ばして頂ければ幸い。
  • これまでの、ハセガワ1/32シリーズのコンセプト、すなわち外形重視、組み立てやすさ重視路線を強く支持する。
  • リベットは不要。中途半端なピッチのリベットは埋める手間が余計にかかる。
  • 計器板のモールドは、タミヤのような計器の丸枠のみの彫刻で、計器の目盛りはデカールで表現するようにしてほしい。
  • キャノピは薄く。1/32BF109では少々厚くて残念であった。なお、可動部キャノピの側面形に関しては、1/48タミヤより1/48ハセガワの方がイメージが良いと思っている。
  • 胴体下の増槽、主翼強化紙製増槽だけでなく、P-38型の増槽もぜひパーツ化してほしい。
  • 主車輪ホィールは2種、プロペラもカーチスとハミルトンと2種をぜひ。
  • フィギュア、バズーカは、あれば嬉しいが、コストアップ要因となるなら不要。

■ 最後に

 ハセガワ、タミヤのキットについては、拙HPの製作記でも言及しているので、できれば併せてご覧願う。
  1. ハセガワ1/48
  2. タミヤレイザーバック
  3. タミヤバブルトップ


文中失礼な記述にはお詫び申し上げます。
サンダーボルトへの愛情の裏返しとご容赦いただければ幸いです。



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