マクダネル・ダグラス F-4C ファントムII タミヤ 1/48 その1

2021.4.21初出

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完成写真 3Dファイル 最終更新日



※ 本記事は、個人メモとして4/21から書き始めたものである。


■ はじめに

 久しぶりにスケビに旧作が掲載され、撮影の済んだ作品が返ってくる。と同時に、新たな作例を依頼される。お題はタミヤの新作F-4Bだ。キットが完璧なのはタミヤHPの見本写真で分かっている。じゃあオレが作らなくても誰が作っても一緒だなあ、作るならC型で、別にB型には強い思い入れはないし・・と一旦は断ったものの、いや待てよ、造形村とニコイチでC型にしたら面白いぞ!と企画を伝えたら、すんなりOK。ということで、世界一早く(たぶん)タミヤのC型を作るのだ。同社通例で、バリエーションはいつ発売になるか分からない。それまで待てない人は、当記事を参考にしてくだされ。

 製作方針は、C型との相違点に造形村を使い、あとは凝らずにさらっと組む予定。3ケ月の製作期間と私の作業スピードからして、変に力を入れると仕上げの時間が無くなる恐れ大。リベットは金属地肌部のみ。キットで点表現されているファスナは、たまぐりで〇にしようか。ジェットノズルは3Dパーツに交換するかも。塗装はもちろんベト迷。オールズ少佐のSCAT XXVIIか、555TFSのスヌーピーか、どちらにするか思案中。後者はデカール入手が条件。前者はインレタでできそう。


■ キット評

 翌々日(4/15)には2つのキットが届く。タミヤのキットは外形100%完璧。私の図面を使ったかのよう。いやあ、タイムマシンで・・ (←ヤメレ、それに拙図が先だし)。合わせも完璧。当機エンジンインテイクが鬼門だけど、ここも完璧。しかも内部の補強と位置決めがよく考えられていて、仮り組みでもピッタリ決まるのは流石。部品分割も極めてリーズナブル。翼前縁フラップは一体。これ重要。後縁内側フラップも一体。これも嬉しい。外側のエルロンのみ別パーツ。これも一体にしてもらいたかったところ。

 コクピット、脚部は必要にして十分なディテール再現度。ジェットノズルは24枚のフラップが4枚ずつの6パーツで構成され、表裏ともモールドばっちりだ。モデルの動きは、外翼折り畳みと給油プローブ展開、スタビレータの可動(これは固定がよかったな)。外翼とプローブは選択式なのでスケール感は失わない。キャノピは閉一体パーツもあり(風防は別)、開状態も固定方法が工夫されている。スタビレータはスラットありなし両パーツがセットされる。

 従前のファントムキットとは一線を画す素晴らしいキットだが、一か所だけ看過できないミスがある。それは風防側面ガラスで、キットはガラス下辺の三日月形の枠が再現されている。確かにこういう機体もあるが、これは一線を退いたのちに改修された姿。ベトナム戦当時は胴体境まで透明ガラスが正解。幸い、キットはスジボリでなく凸モールドで表現されているので、削って磨けばなんとか修正可能。一応タミヤにはメールしたけど、まあB型はそのままだろうな。CやJでは改修(というか追加)して欲しいところ。キットのままでは、塗装は州空軍しか選べなくなる。



風防ガラスと胴体との境の三日月に注意。


 ついでに造形村キット評。実物を手にするのは初めて。機首平面形が「よくある間違い」(ブリファン製作記参照)のとおり。後席付近の胴体幅が2mm細い。2mmだぞ! 前席で1mm細い。逆にレドームは1mm太い。なんやそれ。インテイク付近の平面形もよくある間違いのとおり。インテイクベーンが内側寄りで、折れ曲がりがなく、インテイクリップが内側に湾曲。胴体中央部は2mm高い。主翼下面はファイン72と同じで中央の峰がなく、胴体端付近に折れ線あり。主翼上面バルジもエッジの再現が変。これファインとそっくりで、つまりファインが造形村を真似したってことだね。真似するならエアにすればよかったのに。

 合わせはいまいち。昭和のキット風。エンジンインテイクは後ろの胴体や主翼下面パーツと段差・隙間が生じる。小物は頑張ってるけど、抜きテーパーが強くて、これも昭和風だわ。


■ 主翼

 飛行機モデルの常道はコクピットからだが、C型コンバージョンの一番のキモである主翼から始める。上面バルジは造形村から切り取ってきて交換。このバルジの膨らみは、胴体境ではゼロになっているので、胴体と主翼の接続ラインはB型もC型も(ついでに言うとJ、E、EJも)同じ。だから、胴体パーツを変更する必要はない。下面も切り取って交換する構想だったが、造形村の脚庫とエアブレーキの位置・形状がタミヤと違うので単純に交換できない。むしろタミヤベースにバルジを膨らませる方が簡単。エアブレーキ閉で作るとかえって大変なので、そこはダウンで逃げる。



タミヤ改造前。バルジなく平ら。

膨らませる部分を切って持ち上げる。エアブレーキとの間には0.5mmプラバンを貼る。

その内側の脚庫内壁はプラバンで嵩増しする。

組んだ状態。

上面バルジは、鉛筆描きの線で切り取る。0.5mmの余裕をもって切り出し、微調整する。

整形後、表面がツライチになるようにセロテープでとめて、裏から瞬間を流す。

裏側は0.5mmプラバンで補強。これは必須。後で割れたりしたら取り返しがつかない。

胴体と仮り合わせ。胴体接続ラインはBもCもJも同じ。表面は微妙にツライチになってなく、削り調整に結構な手間と時間がかかる。

キットの補強桁と上面パーツが干渉する。造形村の翼上面はタミヤより厚い。また裏側のプラバン補強も干渉。黒い部分を削る。

脚庫前方のバルジは、パーツを切って曲げてシムを入れる方式で膨らませる。ポリパテが簡単だけど、使わないから手元にない。


 補足。造形村の主翼バルジ表現はイマイチ。折れ曲がりの位置はもっと内側が正解。バルジ高さも足りない。折れ曲がりの前方のバルジなし部分との馴染み方も変。パーツを切り出したときに、このあたりを慎重に削って調整する。なお、今回の改造方法だと、造形村でなくともハセやアカでも可能。切り取る位置は、周囲のスジボリに影響を与えない場所にするのが吉。なお、造形村は半円形のスジボリも位置が違う。


■ インテイク

 次はインテイク。キットの合わせは良い。インテイク外側パーツは、スライド金型で下側スリットが一体で表現されている。上側のスリットは、おそらくスリットの再現性をよくするための別パーツ。分割が工夫されているので、組み立てはスムーズ。



合わせ目処理は溶きパテ拭き取り方式。

内側だけ塗装しておく。サフ吹いて、自作セミグロスホワイト(C1+C62)。


 後日追記。インテイクリップ内側の迷彩色の回り込みが、選択した機体のものとは異なるのだが、このときはまだ気づいていない。


■ 前脚庫

 前脚庫には、延ばしランナーで気休めのパイピング。実物はこの10倍くらいの密度。箱組みした後だと作業しづらいので、バラ状態でパイピング。実際は側面から天井にパイプがつながってたりするが、この際無視。しかし、この作業は嫌いだ。肩は凝るし、イライラするし。



キットパーツはあらかじめ白で塗ってある。

相変わらずセンスなし。嫌になったのでこの辺で止める。脚と脚カバー付けたらよく見えないだろ(←希望的観測)。


 とりあえず、一回目はここまで。


■ コクピット 4/26追加

 緊急事態宣言再発令。通勤7割削減。これは会社行くなってことか。よしわかった。テレワーク推進じゃ。作業が進むぜ。←ワークの意味が違うぞ。

 さて、C型改造の2つ目のポイント、コクピットを製作する。完璧なC型コクピットは求めず、タミヤと造形村のキットを使って、なるべくお手軽に「らしく」再現することを目標とする。そもそも資料によって違いがあり、ベトナム戦当時のC型の正解が分からないから、完璧になりようがない。ともあれ、まず事前準備として、給油プローブの穴を塞ぎ、内側に0.3mmプラバンで内壁を取り付ける。後席後方バルクヘッドにもプローブの切り欠きがあるので塞ぐ。後席両側の壁のフレームのモールドが足りない部分は0.5mmプラバンの細切りを貼る。

 手持ち資料をざっとチェックした結果、前席はBとCでほとんど違わない。メインパネル下側のウェポン・コントロール・パネルのみ造形村と交換し、あとはタミヤをそのまま使う。資料と細かく見比べれば正面左下のパネルあたりに微妙な差があるが、まあ黒く塗ってしまえば同じでしょ。

 後席はBとCでは全く異なる。造形村パーツが正しいという前提で工作することにして(後で正しくないことが判明するが、このときはまだ知らない)、造形村の各部をタミヤのフロアに移植する。であれば簡単に済みそうな話だが、そこはトラップが待ち受けている。造形村の後席フロアを基準にサイドコンソールを切り出して、タミヤのフロアに接着すると、コンソールが低くなりすぎ(造形村の床が高いのだね)。一旦はがしてプラバンで1.5mmほど嵩上げする。結果これでも1mmほど不足だが、面倒くさいので右舷側面のサーキット・ブレーカーの位置など、適当にごまかしお茶を濁す。

 さらにコンソールとタミヤ胴体内壁との間には、1mmの大きな隙間が発生。これは、キット評で書いたとおり、造形村の胴体は後席付近で2mm細いため。プラバンを貼って隙間を埋める。コンソールを壁に寄せて接着するという手もあるけど、そうすると左右コンソールの間が開き過ぎる。

 レジンパーツを組み込もうと考える人もいるだろう。しかし、アイリスなど既存のレジンパーツは、ハセガワなど旧来キットに合わせて設計されているので、タミヤの胴体とは幅が合わない。まあ、側壁もレジンで用意されていれば、そのまま組んではめ込むのはアリか(開口部は広げる必要あるが)。現時点のベストアンサーは、3Dで新造かな。あとはタミヤを待つか(いつになるか分からないけど)。



左:タミヤ、右:造形村。後席コクピットの幅、レドームの幅に注目。何度も言うがタミヤが正しい。

前席サイドコンソールの幅も、造形村(上)とタミヤ(下)で違う。その違いは胴体幅に由来する。

造形村のパーツを組み込んだ後席コクピット。プラの色の違いでコンソールの嵩上げが分かるかな。

別角度で。コンソールと側壁に隙間ができるので、プラバン(グレイ)で塞いでいる。


 次に塗装。ネットで調べるとファントムのコクピットはFS36231で塗られているらしい。手持ちに同色はなく、写真の印象での近似色としてダークシーグレイ(スピVで使用したもの。ビン生よりちょい明るい)を使う。計器やコンソールのパネルはチャコールグレイ。C333エクストラダークシーグレイでドライブラシ。スイッチ類には銀をドライブラシ。あとはインストや資料を見ながら赤や黄色を差す。ファントムのコクピットは色味が少ないね。計器板は一応塗り分けたんだけど、デカールに黒部分が印刷されているから、これは無駄な作業。残念。



塗装終了。後席後半部の塗装は不明で、全部グレイとしておく。

主計器板下の武器制御パネルを造形村から持ってくる。レーダースコープは赤混の黒。


 もうひとつ。前席のグレアシールドも造形村に交換しようと思ったら、サイズが合わない。改めて調べると、C型(少なくともその初期)は、オプティカル・サイト(いわゆるHUDね)のガラスが小さいタイプで、タミヤのB型用グレアシールドがそのまま使える(情報感謝)。なお、造形村は一般的なガラスの大きなタイプ(D型以降の標準装備。レトロフィットはあるらしい。)。このあたり、手持ち資料では分からない部分が多い。情報求む。


■ 胴体下ごしらえ

 コクピットとインテイクが出来たら、胴体左右を接着できる。その前に必要な下準備。まず、内部に組み込む部品を塗装。タミヤのインストではテイルパイプ・ライナーは日本機コクピット色のグリーングレイとなっている。高熱にさらされる部分がこんな色なのか疑問で、自作焼き鉄色にミディアムシーグレイを混ぜて塗る。正解不明。情報求む。→(正解はこちら

 胴体尾部は左右一体となったスタビレータを組み込むように別パーツとなっている。ここはスタブを左右切り離して後はめすることにして、別パーツ部分を先に胴体パーツに接着する。合わせはとても良い。隙間は溶きパテ拭き取り方式で処理。ジェットノズル前方は別パーツとなっている。ということは、JあるいはEのバリエーション展開を予定しているということかな? でも、BとJ(あるいはCとE)では胴体基本パーツのパネルラインが違うんだよね。どうするつもりだろう? ばっくれるのかな。まあ、中級者以上なら彫り直しは簡単だけど。→真相は後述。



エンジン関係を塗装。ファンは8番銀+黒。エグゾースト・コーン、アフターバーナーは銀地に焼き鉄を被せる。

別パーツとなっている部分を接着する。分割線を完全に消す部分は瞬間で、分割線がパネルラインとなる部分は流し込みで。



■ 続、コクピット 4/30追加

 GWは孫娘たちが来るのでモケイはお休み。それまでに出来るとこまで進める。いやあ、テレワークで模型が進むなあ。←ヲイ!

 では、コクピットの続きから。計器板にデカールを貼る。前席はタミヤ、後席は造形村。タミヤは黒い計器部分のみが印刷。造形村はカルトグラフ製で、下地のグレイも含めて印刷されている。このグレイはやや明るくミディアム・シーグレイ程度。

いずれも、メーターごとに切り出すのではなく、一体で貼り付け、マークセッター、マイクロのゾルで馴染ませる。翌日フラットクリアとフラットベースを吹いて、ガラス部分にフューチャー(※)を石鹸水で薄めて垂らす。コクピットの他の部分もフラットクリア&フラットベースで艶を落とす。



計器板デカール終了。武器制御盤はデカールなし。

コクピットに組み込む。操縦桿、スロットルレバーなども塗装して接着。

胴体に仮組みしたところ。後席右側のサーキットブレーカーは、上端に1mmプラバンを貼って隙間を埋めている。

反対側。後席の後半は、現存実機写真を参考に一部の機器類を黒で塗る。


 ※フューチャー(Future)とはアメリカの床ワックス。国内だとリンレイ オールワックスで代用可。


■ 胴体接着

 インテイクダクト部は、ベーンも含め組み立て接着し、先に胴体パーツに接着しておく。ダクトは分割ラインが工夫されていて表から目立たない。よって接着部の整形は省略。ベーンにはダクトの一部が一体となっているので、その部分のみ白で塗装しておく。次に、コクピット、エンジン後方部分を組み込んで胴体左右を接着。スタブ基部には忘れずにポリキャップを仕込む。



その前に、テイルパイプを塗りなおす。前回の色にダークグリーンを混ぜる。ウェザマスでウォッシング。

胴体接着終了。内側には補強のランナーを接着する。無理に広げないよう、落とし込んで瞬間で固定。

ざっと、整形終了。インテイクダクトと機首の間の凹部には、若干段差隙間が生じるので、瞬間で埋めて整形する。

別パーツになっているスタブ下方のアウトレット部分も接着。ここも小段差ができるので、やや広げ気味に接着するとよい。


 胴体上面の給油口があるパネルは、ファインの1/72同様に別パーツとなっている。合わせはまずまず良好で、ファインのようなことにはならず一安心。合わせが良いので流し込みで接着。ただし、前方の機首部分とは若干の段差ができる。組み方が下手なのかな? まあ、ペーパーで削ってやれば済む程度ではある。消えたスジボリを再生。これはエッチングソーと0.1mmラインチゼルを併用。曲線部分はケガキ針。


■ 主翼接着

 主翼は造形村と切った貼ったしてるので、慎重に上下パーツを擦り合わせる。造形村のバルジ部分をタミヤにはめ込む際、キツめに接着した関係で、翼上面パーツにわずかな反りが発生。そこで、下面パーツに1mm真鍮線をがっちり接着して変形を防止する。そして、前縁が一直線になるように注意して上下パーツを瞬間で接着する。

 エルロンは別パーツとなっている。上面側は先に翼上面に接着しておき、主翼上下接着後に下面側を接着する。が、擦り合わせをサボって、ヒンジ部分に段差ができてしまう。仕方なく、一旦瞬間で埋めてツライチにしてから、ヒンジの凹みを彫刻刀で彫る。下面側も隙間や段差ができ、ここも瞬間を盛って削る。盛ったり削ったりで、キットの繊細なスジボリが一部消えてしまう。やはりここは主翼と一体パーツにして欲しかったなあ。



こんな感じで前縁に真鍮線を接着。

ついでに後桁位置にも真鍮線を入れる

エルロンのヒンジ部を彫刻するところ。エッチングテンプレートをセロテープで貼って、切り出し刀を立てて削る。

上面側出来上がり。

下面側はこんな具合。ここまでかなりの手間。やっぱ別パーツは止めてもらいたい。

カタパルトフックは切り取り、造形村の同じ部分を切り取ってきてはめ込む。

バルジ部のパネルラインは、図面データを元にカッティングシートを切ってスジボリ。

できあがり。確認のため、ウェザマスでウォッシング。


 補足。バルジ前方の半円ラインは、造形村のパーツでは上画像グレイ部分に納まっていたのに、スジボリしたらタミヤ側にはみ出す。つまり造形村のスジボリが違ってるってことだね。


■ 胴体ファスナ

 キットは、ファスナと一部のリベットをどちらも凹点で表現している。このうちファスナのみをたまぐりで〇モールドに打ち直す。主翼を接着しちゃうと裾の方は打てなくなるから、その前に作業なのだ。実機のファスナは、もっと密に打たれているが、キットの穴がある以上、それと違ったピッチでは打てない。キットの凹に被せて打つわけだが、ここで何番で打つかが問題。

 本当は#1にしたいのだが、目立たないところで試し打ちすると、#1では大きな凹穴状になってしまう。やむなく#3にする。これだと辛うじて〇になる(若干目玉状だけど)。尾部の無塗装部のファスナは#4、ドラッグシュート直前のリベットは#1で。無塗装部の大きな凸ファスナのモールドは、エッジがやや甘いので、#11を軽く打ってエッジをハッキリさせる。



空中給油口をスジボリ。これも図面データでテンプレート。

スジボリしてファスナを打ったところ。このあたりは全部#3。

胴体側面。これも#3。〇がかなりオーバースケールだけと、ピッチも粗いからこれはこれでバランス。

後部胴体は上述のとおり各種使い分け。


 同様に、主翼のファスナも#3で打ち直す。画像ないけど。主翼のファスナはそんなに多くない。


■ 主翼と胴体の接着

 たまぐりが終わったら、いよいよ主翼と胴体の接着だ。ただし、機首下面とレドームはまだ。というのは、キットのつくりがそういう順番で組むようになっているため。多くのファントムキットは胴体側面に主翼が接着される分割だが、タミヤは主翼の上に胴体が乗る設計。本来のキットの合わせは多分ばっちりだと思うが、造形村とニコイチした関係で若干隙間が発生(主翼上下の擦り合わせが十分でなかったのだろうな)。隙間を閉じるようにして瞬間で強引に接着する。



主翼下面とインテイク下面、主翼下面と機首下面の合わせはよい。組み方が下手で若干段差があるが、この勘合は感動的ですらある。

ノズル前方の胴体下面は別パーツとなっている。これもJやEとのバリエ展開のためだろう。


 ところで以前に、BとJは胴体後部のパネルラインが違うのどうするんだろう?と書いたけど、キットをよーくみたら、胴体後半は金型差し替えになっている。ぱっと見わからないんだけど、表面に微妙な段差があって、それとわかる。ということで、CとJは堅いな。E、EJまでいくかどうか。


■ 十の字

 さらに、機首下面、レドーム、ノズル前方を接着する。飛行機の形になるとテンション上がる。



ようやく十の字(横棒短いけど)。垂直尾翼は仮止め。インテイクのサフは凹リベットを埋めているところ。




■ チマチマ作業 5/15追加

 ちょこっと更新。主翼と胴体を、やや強引に接着した関係で、機首上側と下面との合わせ、ノズル付近の胴体上下の合わせは若干の段差が発生。本来の組み方なら、段差隙間はできないと思う。ここは瞬間を盛ってゴリゴリ削る。基本パーツの接着が済んだところで、スジボリを再生したり、表面の不具合を直したりのチマチマ作業。



主翼下面と機首下面の合わせは非常によい。サフ厚塗りで段差を処理。

胴体後端における胴体下側と上側の接着線は、パネルラインのない場所なので瞬間で処理する。

スジボリはエッチングソーで再生。黒いテープはカッティングマシン用のシート。カッターで細切りにして使う。

機首のファスナにもたまぐり。基本は#3、一部は#2。

ベーン後方は穴を彫り、中央に仕切りを入れる。抜きテーパーで上面の断面形が「へ」の字状なので、平らに削る(下面も同様)。

インテイク前のフェンスを0.2mmプラバンに置き換える。なんとキット状態でインテイクの穴が抜けていて十字の仕切りがある!



■ 垂直尾翼と外翼




垂直尾翼できあがり。アンチコリジョン・ビーコンライトはクリアランナーに置き換える。

外翼下面はこのような分割。直近に凸凹スジボリがあるので、流し込み系で接着し、サフで隙間を処理する。


 垂直尾翼は若干面倒。キットは前端にセンサー類の突起のついた尾翼上端パーツしか入っていない。通常の形になるように突起を削る。さらに前縁左右と右舷中央部も別パーツ(J型とのコンパチを想定かな)なため、合わせ目の処理が結構面倒。

 作業はもうちょい進んでいるが、とりあえずここまで。


■ 3Dパーツ 5/19追加

 初期ファントムの特徴的なJ79-GE-15Aのノズル、キットパーツも決して悪くないが、当ページの「お約束」として3Dパーツに置き換える。ウリは内面の複雑なリンク機構を再現したこと。表側のディテールは、ちょっとデフォルメして濃いめの味付け。積層痕を避け、前半の円筒部分はキットパーツを利用する算段。3D設計では円筒部分も別ボディにて再現する。いずれの場合も、取り付け部の外寸はキットに合わせてあるので、そのままキットに接着できる。

 リンク機構は、3D可動モデルではないものの、スケッチ上の拘束を設定することで、フラップ(いわゆるアイリス板ね)の角度を設定するとリンクが連動して動くようにする。これにより、フラップの角度違いが比較的簡単な作業で実現する。作品は拙図に合わせてフラップ8.5°(絞りなしを0°とする)にする。キットは6、7°くらい。なお、マニュアルのJ79構造図では、内側のフラップはプライマリ・エズゾースト・ノズル・フラップ、外側はセカンダリ・エズゾースト・ノズル・フラップと呼ばれている。

 さらに、アレスティングフック。キットのフックは抜きの都合で断面方向の凹ディテールが再現されないから、効果大だぞ。なお、3Dファイルは下記事情により後日配信予定。どうしても欲しい方はメールされたし。




こちらキットパーツ。内側フラップがちょっと短い。ま、覗き込まないと分からない部分ではある。

3D設計。円筒なし、8.5°。

内側のクローズアップ。キットの円筒部分の厚み、3Dパーツの強度上必要な厚みを取っており、ある程度のデフォルメはご了承を。

20°に絞った状態。内側フラップも連動して絞られ、リンク機構がよく見えるようになる。こちらの画像は円筒部分あり。

お試しプリント(8.5°)をキットにはめてみる。採寸して設計しているからピッタリ。なお、キットの内側フラップ部分は切り取る。

アレスティングフックは、1/72ブリファン製作時に設計済み。今回は1.5倍する。ラッチは修正改設計。


 さて、これら3Dパーツ、タミヤキットの発売に合わせて、HMAGARAGEよりプリント品がリリースされる。ノズルは1種類(8.5°)のみ。プリントはIKE氏で、達人の攻めたパラメータ設定によるキレの良い造形になるぞ。積層痕も、サンプルを見ると気にならないレベル。オマケにバックミラー、フェイスカーテンハンドル、アレスティングフックとそのラッチが付属する。3Dプリンタ未所有の方、あっても面倒くさい方には朗報だろう。販売は8月初旬。予約受付中。詳細はこちら →後日追記、7月初旬時点で当初販売分は予約終了。再販を待て。


■ 続、チマチマ作業

 主脚庫にパイピング。複雑な場所なので0.3mm鉛線を使う。バルジ再現による修正箇所を隠すように線を這わす。実際とはかなり違うが、この程度でお茶を濁す。コクピットにも同様に0.3mm鉛線のパイピング。これも実物は3倍以上の本数だけど、何か?



一応、主脚庫にもパイピング。

バルジ改造でできた隙間はプラバンと配線で隠す。

後席計器板の裏側と後席後方にもパイピング。穴をあけて接着。

コクピットに組み込んだ状態。気が向いたら本数増やしてあげよう。



■ 造形村コクピットの怪

 造形村パーツをコンバートした後席コクピット、何か違和感あったんだけど、その原因が判明。要は、当該部の胴体が2mm細いため、コクピットの造りが全体に2回りほど小さいのだ。サイドコンソールのパネルはさらに小さく、3回りほど縮小されているから長さが足りない。でもってその後方がスカスカになってるわけ。

 タミヤに組み込むとコンソールの高さが足りないのも、側壁と隙間ができるのも、全体的に縮小された結果なんだね。ちなみに、前席も1回り小さい。主計器板もしかり。グレアシールドもしかり。だからタミヤの計器盤に合わなかったのだ。やっぱ3Dで再現がベストだったな。



再掲。右舷最後部の黒箱は隙間埋めでフィクションで追加したもの。その手前くらいに後方バルクヘッドがあるのが本来の配置。

左舷も後方の箱部分が妙に間延びしている。右舷側壁のパネルも二回り小さいために上部に隙間が発生(プラバンで塞ぐ)。



■ 外翼、垂直尾翼の接着 5/21追加

 これで正真正銘、十の字だ。どちらも合わせは非常に良いので、基本は流し込み系。つけ過ぎると折角のモールドを潰してしまうから注意。外翼ヒンジ部分は、段差隙間が全く生じない。本キット、他社キットとは外形正確度とフィッティングにおいて次元がまるで違うね。外翼の後半部は微小な隙間があり、そのままではプラプラするので瞬間で内翼にしっかり接着する。ここはおそらく設計上も隙間を残していると思われる(別部品のエルロンも同様に隙間がある)。

 下面側は段差ができないように取り付け部の厚みを慎重にすり合わせる。それでも内翼の組み方のせいか、若干の段差隙間が生じ、溶きパテで埋めてサンディング。パイロンで隠れる接着線は消す必要がない。外翼は強度が確保されるよう、よく考えて設計してあるが、それでも少量の流し込み系での接着のため、外翼だけを持って持ち上げると、ヒンジ部の接着線が割れる。←割ったんかい(泣)



以後、うっかり持ち上げないように注意喚起にマステを貼る。後端には、破損防止にスチレンフォームをテープで貼っておく。

下面の内翼での分割ラインはこのようになっている。前後はパネルライン沿い。内側はパイロンで隠れる。

垂直尾翼接着。アンチコとインテイクのベーンに注意。台形のアクセスパネルはB型にないのでスジボリ&たまぐり。

燃料排出ベントを保護するため、このようなガードを取り付ける。


 燃料排出ベントは別パーツで、設計がよく考えられており、合わせ目の整形が不要。これもマル。


■ 風防&キャノピ

 その前に、グレアシールドを取り付ける。キットは右舷側に小計器を取り付けるため小穴が開いている。実機写真を見る限り、製作予定機はシールド上の計器はないので、穴を埋める。オプティカルサイトはキットパーツ。

 さていよいよ、前半戦の山場、風防の接着だ。前に書いたとおり、キットの風防は、下側の三日月形の窓枠がモールドされているというミスがある。段差をノミで切り落とし、1000番ペーパーで整形、コンパウンドで磨く。あらかじめ、風防下辺の谷折り線に沿って、エッチングソーでスジボリを入れておくのがポイント。このスジボリがそのまま修正後の窓の境界線となる。キットは三日月の後ろ側が細い窓枠となって、後端まで続いている。これを残したまま三日月だけ削り取るのは無理。全部削り取る。

 正面窓には内側から自作クリアブルーを薄く吹く。これはいつも翼端灯に使っているもので、クリアーイエローを加えてちょっと緑味がかっている。いや意図したものではなく、手元にビン生クリアブルーがないだけ。時折、このブルーを濃く塗っている作品を見かけるが、あれはないと思う。実機はガラスに着色してるのではなく、ガラスの厚みでナチュラルに青味がかって見えるだけではないかな? ついでにいうと、ファントムに限らずジェット機の窓枠の細いシーリングが真っ黄色、あれもないな。ライトグレイかせいぜい黄色味のあるライトグレイが正解。



グレアシールドを接着。

再掲。キットの三日月形の窓枠に注意。グレアシールド上の計器も見えるね。

修正加工前の状態。裏面の折れ線があるのでちょい分かりづらい。中央の防弾ガラスには内側から薄くクリアブルーを吹いておく。

段差を削り落としペーパーで整形した状態。エッチングソーのスジボリは上縁、後縁にも入れる。これは後のマスキングのため。

コンパウンドで磨く。これがベトナム戦当時の正しい姿。キットのままでもいいけど、ここはファントム愛が試される場所なのだ。

フレーム後端に、伸ばしランナーで段差状のフチをつける。接着は流し込み。

固定部キャノピ。前端フレームの接着線をタミヤパテで埋める。上側の四角いのは操縦席キャノピの接着シロ。

後端には風防と同様に伸ばしランナーのフチをつける。

胴体に接着。これも流し込み系。接合部はサフ、またはタミヤパテで埋め、エッチングソーでスジボリ。

固定部キャノピの下側には若干のヒケがある。タミヤパテで埋める。黒いテープはスジボリ用のガイド。

マスキングはいつものセロテープ。スジボリに沿ってデザインナイフで切る。そのため、窓の境界をエッチングソーでスジボリする。

さらにコクピットもマスキングして塗装の準備終了。


 セロテープによるマスキングは、クリアパーツに直接刃物を入れるのでリスキーではあるが、この方式の最大メリットは、マスキングを剥がしたときの境界がシャープになる。スジボリにウェザマス黒を流せばさらに境界クッキリハッキリ。それと、ちまちまマステを切っては貼っていくより作業が早い。マスキングを剥がさなくともセロテープ上の塗料だけこそげ落としてやると、マスクを剥がしたのと同じ見た目になり、製作のテンションも上がる(マスクを残すのは、フラットクリアでのツヤ調整をするため)。


■ キャノピ重箱の隅

 オープン状態のキャノピ、模型だと、パーツの凸部を凹部にはめ合わせて接着したくなるけど、実物はそうじゃないって知ってるよね。凸と凹は離れた状態になる。凸の下に本来のステーがあって、凹はそのステーを避けるもの。凸は閉めた時に凹を埋めるフタ。タミヤはちゃんと正確に表現されている。サスガ。ちなみに、拙図のEとEJも以前からこういう風に描いてあるんだけど(ヒンジピンは十字で表現。ここを中心に図形を回転させるとちゃんと閉まるよ)、気づいてた?



凸と凹は離れているでしょ。シーリングの色にも注意。

凸の下側のステーが分かる。両者は離れており、ヒンジのピンは少し内側に位置する。


 次回、塗装考証。マーキングはオペレーション・ボロのオールズ大佐機に決定。




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