ファントム FG.1 エアフィックス 1/72 その2

2017.11.11初出

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■ 3Dパーツ組み込み 1/30追加

 ファントムに触るのも久しぶりだなあ。ノズルは積層跡をペーパーで落とし、エッチングソーでスジボリをさらう。本当は胴体近くにもう3本ほどあって、ケガキ針で再現するつもりだったけど、面倒くさくなってスルー。



ノズルを接着。流し込み系で位置決めし、裏側を瞬間で補強。胴体側も微調整。

燃料ベントは基部ごと取り付ける。



■ 塗装開始

 これでようやく塗装。下面から先に塗り、マスクして上面。EDSGは、スケールと退色効果から、シーファ17の若干明るめに調色したものを使用。下面は黒10%混のGX1クールホワイト。やや暗すぎる気もするので、あとで上塗りするかも。



埋まるのを気にする程のリベットではないので、マーキングの突き合せ塗装はせず、一気に全体を塗る。

下面はこんな具合。



■ マーキング塗装 2/16追加

 そろそろペースを上げねば。迷彩塗装の次はマーキング。尾翼に描かれた892スコードロンバッジの赤白は、マスキングシートで塗装する。イラストのデータを使ってロボのデータを作り、赤い悪魔と一緒に切ってある。赤の色調にちょい悩む。戦後の英軍機の赤は、ラウンデルに用いられるポストオフィスレッドと、練習機などに用いられるシグナルレッドの2つがある。実機にどちらが使われていたのかは不明。

 模型的には、やや明るめに調合したEDSGに赤の明度を合わせたい。大戦機ではRLM23ベースに調合した退色赤をよく使うが、戦後ジェットには似合わない。つうことで、GX3ハーマンレッドをベースにセールカラーを5%ほど混ぜる。単純に白を混ぜるとショッキングピンクになってしまう。



マーク部分のマスキングシートを先に貼り、周囲をマスク。その後にマーク部分をはがす。

赤の下地を兼ねて白(GX1ビン生)を吹いて、白部分をマスク。

尾翼に赤、ノーズに黒(白20%混)を吹き、さらにラウンデルの青(フタロシアニンブルー)をマスクして吹く。

マスクして白。上面はGX1ビン生、下面は迷彩色に合わせて黒10%混とする。

ラウンデルの赤もサークルカッターでタミヤテープを切ってマスク。GX3ビン生を吹く。サンダーバーズレッドでも良かったかな。

段差を均す前に、全体にクリアを吹く。下面はこんな具合。シリアルもロボでシートをカットして塗装する予定。


 次は無塗装部の塗装。←変な言い方。おっと、胴体上部と翼付け根のウォークウエイもあるな。


■ 無塗装金属部 3/3追加

 ノズルおよび後方の耐熱板は、5種類の銀色の塗り分け。以下私的備忘メモ。スタビライザー基部の半円形が#8ビン生、その前後は自作ダークシルバー(#8+黒)、ノズル後方は自作ガンメタ(#8+黒多め)、ワンポイントで前二者の中間の階層。ノズルの外筒は#8銀+レッドブラウン+黒。いずれもクリアを混ぜて吹く。

 胴体上部のウォークウェイは基本迷彩色に白を2割ほど混ぜる。翼付け根も同色と思ってたら、写真で確認するとEDSGより暗いものもあり、黒を1割ほど混ぜる。ただしこのあたりは機体によってバリエーションがあるようだ。その周囲の黄色線も塗装。これはいつもの自作オレンジイエロー。



マスキングして塗装中。大きい面積はキッチンラップが便利。

スタビレータ下面のマスクはセロテープを貼ってナイフで切る。写真では見えないけど。

こういう形もセロテープ&ナイフ方式が便利。手脂で粘着力を落としておく。

金属部の基本塗装終了。最後にセミグロスクリアを上吹きしておく。

背中のウォークウェイはマスキングシート一発。

主翼下面のレター。XTはヒンジの凸があるので、粘着力の強いシート、871は図形の再現性のよいシートで。

境界層排出穴は塗装で表現する。セロテープで仮止めしたマスキングシートを一体で貼る。

ベーン全体は明度を下げた色で塗っておき、枠の部分をはがして全体を機体本体と同色で塗装する。

塗り分け塗装が概ね終了。次はインレタ。

下面はこんな感じ。



■ インレタ&デカール 3/7追加

 マーキングも佳境。レター類とコーションの作業だ。とにかくデカールのニスの段差が嫌い。上面はできるだけインレタを使いたい。ROYAL NAVY、シリアル、機番、Ωの文字はインレタ。赤および黒のコーションステンシルもインレタ。黒い方は目立ち過ぎて、上から面相筆で迷彩色を薄く被せる。

 やむなく一部はデカール。黄色いコーション類(今回黄色版は作ってないのだ)、赤三角、胴体横の赤四角、キャノピの黄点線などがそれ。この黄色点線は一部の長さが不足。スタビレータと一緒にご支援頂いたデカールのニコイチにてクリア。感謝。下面は、白地でニスが目立たないし、手抜きしたいしで、コーションは全部デカール。しかも全部は貼ってないし。

 以下、反省点。最初に一番目立つROYAL NAVYを貼ったら、その後のコーション類の作業中に表面を引っかけ、やむなく面相筆タッチアップ。これは最後に貼るべきだな。ラムエアタービンドアの赤線は、インレタ用意したけどスジボリジャストの位置に貼るなんて無理。結局これも塗装。



塗装&マーキング終了。画像はインレタ&デカールを貼って、セミグロスクリアを吹き、ラプロスで軽く磨いたところ。

この辺のマーキングは全てインレタ。ROYAL NAVYの書体はデカールよりこっちの方が正確だぞ。

インレタのコーションはハイライトを入れても段差が目立たない。赤いハニカム、矢羽もインレタ。

下面はこんな感じ。クリア吹いて軽く研ぐが、スジボリが埋まるので段差が消えるまでは厚吹きしない。

補強板は、インレタを貼った上から塗装して表現。だからセロテープのマスキングが出来なかったのだ。(下面は手抜きでナシ)

3Dプリントのスリットは、銀塗装するとイイ感じ。これは私には手作業では無理だわ。


 ところで、以前に書いた外翼ヒンジライン再現のズルい手法とは、これをインレタで再現するというもの。で、上面に貼ってみたけど、目立ちすぎ。そこで迷彩色を薄く被せたら、今度は目立たな過ぎ。下面は山折り線のせいで上手く貼れない。つうことで、アイディア倒れの感アリアリ。


■ 3Dデータ

 3Dはまだまだ続くよ。テイルフックと外側パイロンのデータが完成。キットのフックはイマイチなのでね。基部の太いところは単純な長方形断面ではなく、前は下広がり、後ろは上広がり。これはロフトで作成。写真をよく見ると、コブみたいなのがある。手持ち写真では正確な形状は不明。細い部分も上の開いたU字断面。これはスイープで基本形を作り、側面形のテーパーは押し出しで切り抜く。

 パイロンは、上手く出力できたら燃料タンクをやめてこれにしようかな。アークロイヤルのブリファンは、翼タンクが付いてない場合が多いのだ。ついでに内側パイロンも作っちまおうか・・ 作り方解説。本体は、前中後に三分割でスケッチして押し出し。スジボリは、基準面にスケッチして「スケッチ→プロジェクト/含める→サーフェスに投影」で投影面を選択すると、スケッチが投影される。これをパスとして円をスイープ。これが一本ずつの作業で面倒くさい。一度に処理する方法がないもんか。左右の翼形状はロフトで。



この方向で出力。V字形のパーツの穴はさすがに無理かも。

画像の方向で出力するので、一部のサポートも一緒にデータ化する。底面のディテールは不明につきフィクション。


 細部ディテールやスジボリの太さなど、お試し出力と手直しは必須かな。調整が済んだらデータをアップする予定。


■ フック&パイロン出力 3/22追加

 このところPhoton君フル稼働。臭いの関係でキッチンスペースに置いており、料理ができないから毎日コンビニ弁当。飽きてきたぞ。さておき、着艦フックと外側武装パイロンを出力。スジボリ等を微修正。いろんな出力方向を試し、スライサー上で天地逆さに置くのがベストかな。とくにパイロンは弾体押えの円盤をきれいに出力しようとなると、この方向しかありえない。

 ただし、そのままだと、パイロン本体後半のテーパー部分に縦方向の段差痕が目立ってしまう。これは、液晶の最小ドットによるものだから、積層厚さを変えても解消しない。こういう場合は、上から見て45°になるように配置すれば、多少は目立たなくできる(1段分の幅がルート1/2=3割減)。

 Photonによるスジボリは、エアフィックスかマッチボックスかというほどヌルいから、エッチングソーなどで彫りかえし、段差をペーパーで削り落として塗装。正直、プラパーツから作る方が早いな。まあでも、形状寸法はバッチリだし、弾体押えがきれいに揃う点は捨てがたい。



出力して表面を整形して塗装。フック先端の凹ディテールもなんとか再現。前端のフラップ状のものはプラバンで追加。

出力、整形、スジボリさらって塗装。このあと、コーションのインレタ&デカールを貼って、クリア吹いて研いで取り付ける。


 アークロイヤルFG.1の内外パイロンは、白一色のものと、白地に前縁が上面色の二種類がある。多数派は後者。007-XT871は前者が確認できる。


■ 内側パイロン

 調子に乗って、内側パイロンも3Dプリントじゃ。当初はサイドワインダーのレール付きのやつをモデリングしたんだけど、面白味に欠ける気がして、下側にラックを取り付けた状態にする。記録写真でもFG.1はこの状態が多く見られるよね。パイロンの先端は、結構難しい形をしており、側面形はただの三角形なのに、上から見ると鉛筆のような五角形。これはロフトで作成。ただし、彼も気難しく言うこと聞かすのにひと苦労。

 出力は同じく天地逆さ。ただしそのままだと、Photonマジックで先端が細く出力されてしまう。そこで薄板状のサポートを取り付ける。これで形状ばっちり。弾体押えは一体で出力すると、段差削りに邪魔で、そこだけ分けて出力。結局、プラで本体を作って、弾体押えだけ3D出力するのが早いな。まあ、やってみることに価値があったとしておこう。



先端は楕円の1/4をロフトでつなぐ。先端のプロファイルはパイロン底面より下に置き、ロフト後に不要部を切り抜くのがミソ。

後半のプロファイル2は1/4楕円+長方形。形が異なるプロファイルをロフトすると、途中が凹んだりするので、レールが必要となる。

後半は単純な押し出し三本勝負。

できあがり。先端上部の板状サポートに注意。出力は天地逆さで。

斜め45°に配置して出力。側面に現れる積層段差はこんな感じになる。

段差を削り落とし塗装したところ。こちらも白一色。



■ お持ち帰り



着艦フック ファイルダウンロード

外側パイロン ファイルダウンロード

内側パイロン ファイルダウンロード




■ Fusion360小ネタ

 ロフトを作成する際、ガイドレールがプロファイルに接してないというエラーがよく出る。原因は、3D空間上でレールとして描いた線分が、プロファイルのエッジに接しているつもりで微妙に接してないのだ。これを解決するには、プロファイルの面上でスケッチを開き、スケッチ点をエッジ上に作成しておく。こうして各プロファイルに点を作っておけば、それをつなぐことで、ちゃんと接しているレールが描ける。←今頃気付いたのか?


■ 主脚 3/25追加

 どんどん進める。脚回りは、エア、ハセ、アカのいいとこ取り。主脚は、写真など見ると気になるところも出てくるが、パイロンなどの陰でほとんど見えないから、あまり力をいれてもねえ。



前脚と主脚。グレイはハセ、水色はエア。主脚はモールドのカッチリしたハセを採用。前脚は・・・。

タイヤはホイルの造形の良いエアにする。パーティングラインを消すついでに、トレッドをケガキ針にて回転切削。

主脚カバーは3点ともハセ。米海と英型は脚カバー後端の形状が異なるのでプラバンを貼って修正。

主翼へは、イモ付けとなるので、L形の真鍮線で補強する。


 ろくろ細工補足。軸はつまようじを瞬間で仮固定。ルーターは左手、ケガキ針を持つ右手を左手にしっかり固定し、針先をタイヤに当てる。ある程度深くなると針先が安定するから、溝幅など微調整。位置、間隔は目分量なので、実物と違うけど、まあ雰囲気ということで。


■ 前脚

 FG.1の前脚は二段オレオのため、他型より相当太い。キットは細すぎ。おそらくFGR.2を取材したのだろう。また、車輪同士の間隔も広くなる。これは車輪の間に下段オレオの筒が入り込むため。トルクリンクをはじめ、機器類のディテールもよく見りゃ全然異なる。つうことで、ここまで来たら例の「アレ」だよな。



3Dモデリング。脚柱は太いぞ。トルクリンクの穴は、モデル上では再現できても、出力すると一番小さい穴は埋まってしまう。

お試し出力品を白く塗装してみる。ここまで再現できれば上等でしょう。一発抜きだし。

車輪はハセを採用。こちら落選組。上はアカ、下はエア。

前方のドアはスクラッチ。ライトのキラリが欲しくて裏に凹ませたアルミ板(φ1.2mm)を仕込む。後方ドアはハセをDアップ。


 前方ドア補足。表面は0.2mm透明プラバンで、ライトの丸と四角をスジボリして磨く。裏面はハセパーツを一回り小さく削る。ポンチで0.15mmアルミ板を抜きクリア塗料で接着。アンテナは真鍮線削り出し。機番はインレタ。三色灯に色を入れるところで断念。エナメル系で塗ってはみ出しを拭き取るといいかも。←持ってないけど。心の目で見ると色が見えてくるってか?


■ お持ち帰り

 ではお持ち帰り。FGR.2やJ79型には使えないので要注意(これらに適合する前脚はF-4E製作記からDL可)。取付角度も注意。3°の後退角がつく。出力方法は天地逆がベストかなあ。機器類のワイヤもモデル化するけど、細すぎてイマイチ。別パーツにしているから、邪魔なら非表示にされたし。

FG.1前脚柱 ファイルダウンロード



 長くなったので、ここまで。次回いよいよ完成!


■ 250万御礼 3/29追加

 今日、表のカウンタが250万に達する。200万から1年9カ月ほど。日平均750回の来訪に深く感謝。もっと認知度を高めて、プラモメーカーが私の図面を気にしてくれるようにせにゃいかん、と思いつつ・・(某社のハヤブ・・以下略) ともあれ、300万目指して頑張ろう。


■ 最後の工作とウェザリング

 残る小物を取り付ける。センターの増加タンクはキット。塗色は白とEDSGの2種類があるが、本機は後者を下げた写真が残っている。なんとなくブリらしい感じもするしで、EDSGに塗る。その他、センサーやアンテナ類は金属線に置き換え。着艦フック後方にはV字形のパーツ(これ何?)も取り付ける(3Dプリントなので、すぐ折れそうな気もするが)。FG.1はスパローを下げた姿をほとんど見ない。FGR.2によくあるカウンターウェイトも見ない。折角のアウトラインも崩れるし。よって「なし」とする。←手抜きの言い訳かい。

 以下備忘録。主脚柱のアクチュエータはエア、車輪ドアアクチュエータはプラバン細工、前脚アクチュエータはスクラッチ。尾翼前縁のセンサーは0.6mm真鍮線のルーター細工。主脚ドアのシリアルはインレタ、これは楽。脚庫の中は手抜き。3Dプリンタで、モジュール方式の壁面ディテールを追加しようと思いつつ・・

 上面のウェザリングは、ウェザマスのウォッシング。一部のパネルライン周辺には生ウェザマスを乾いた筆で擦りつける。アークロイヤルのFG.1は、あまり汚れているイメージがなくて、この程度にしておく。下面はそれに加えて、エナメルの黒+茶をぺトロールで薄く溶き、筆でサッと撫でて油汚れを表現。失敗箇所はぺトロールで拭き取ってやり直せばよし。塗装面の仕上げに、セミグロスクリアーでも薄吹きしようかと思ったが、窓のマスクも剥しちゃったし、ラプロス#6000で磨いた状態が最終。以上で完成。



下面はこんな具合。上面にあわせ、汚しは控えめで。



■ 完成

 先日、愛用していたキャノンパワーショットS3がご臨終。メーカー修理も終了しており、後継機種のSX60に買い替える。20cm程度の近い距離でもズームが使えるようになり、嬉しい。この値段でこの性能は、お買い得といえる。もう少し被写界深度が深くできるといいのだが。いつものように室内で撮影すると、機体のグレイと背景のグレイが被ってしまう。そこで今回はベランダで自然光にて撮影。ただし背景はいつもの色紙。

 図面着手から1年半、キット着手から1年余りで、ようやく完成。今回は3Dプリンターを初体験。作品のクォリティ向上には強い味方だ。素組みで満足しない重症モデラーにはお薦めしたい。模型の世界(限界線)が広がるよ。ただし、その間は本来の模型が進まなくなるけど。図面に関しては、かなり手間と時間がかかったが、その分だけ正確度の高いものが出来たと思う。そこいらの図面には負けないぞ。資料や情報を提供いただいた諸氏に改めて感謝する。それらなくして、この図面は出来得ない。EやRFのリベット、さらにJとAくらいは作図したいが、いつのことやら。まあ、気長にお待ちくだされ。あとはこの図面を使って、どこかのメーカーが・・・(←やめれ)







































■ EJ改 図面 4/19追加

 どこかで私の図面を使って新キット開発して欲しいなあ〜、なんか空自ファントムの噂があるよなあ〜、ということでF-4EJ改の図面(側上下)を描く。空自ファンの方、お待たせ。実は密かにE型にリベ&ファスを描いていて、それにC型の主翼を合体するとEJができる。あとは改の変更点を追加。あまり資料がなく、細かいところが分かってない。熱烈マニアの厳しいツッコミを期待する。

 図面と解説は図面のページで。


■ レベル 1/32 ファントム キット評 10/20追加

 ほらぶろわーず掲示板にて、レベルファントム(タミヤ機首を使いC型に改造!)のコメントがあり、その中から主に外形に関する部分について注意点を要約して引用する(感謝)。なお、基本的外形に関しては、後部胴体の形状など、タミヤよりレベルの方が優れるが、強度が不足(翼、脚など)で、大幅な補強が必要とのこと。
  • エンジン・インテイクは高さが2mmほどオーバー。インテイクベーンも同様。
  • 垂直尾翼先端の形状が違う(上端が反りあがる)。
  • 機尾のフュエルベントは2mmほど長過ぎ。
  • 尾翼のラダーは前縁が1.5mmほど後ろ。
  • エンジンノズル上のブリードエア排出口は、スリット2本分後ろ寄りにモールドされている。
  • ノズル前の胴後端部分(無塗装部分)は、A/B/C/D/N型 などでは5mm幅に改修。
  • 後胴下面とエンジン膨らみの境が角ばっている上にラインも違う。キットはカーブがきつい。
  • 厚タイヤに対応した主翼上面の膨らみは、前方部分にもエッジがある。
  • 内側パイロンの取り付け位置は2mmほど外側過ぎる。
  • パネルラインは、大半が間違いだらけ。
 やっぱり1/32でも、まともなキットが出てもいいんじゃない? どこかで私の図面を使って・・(←やめれ)


■ ファインモールド 1/72 ファントムEJ キット評 2020/10/26追加

 さる方面のご厚意によりキットを入手(毎度感謝至極)。気になる外形をチェックする。なお、以下の記述は相当に辛口かつ重箱の隅なので、既に完成した方、製作中および今後予定の方は読まない方がいいかも。チェックにあたっては、細かい部品分割のため、パーツ状態ではよく分からないところもあり、流し込み系でサクッと組み立てる。

 結論をいうと、私の図面は反映されていない。ファインが私の図面の存在を知ったのは、金型の製造が概ね終わった後だった、とのこと。残念。

 さて、まず本キットで一番気になるのがキャノピ。後席キャノピ前端あたりでグッと広がるという本機の特徴が表現されない。後席キャノピ前端の幅は、正しくは11.3mmだが10.5mmで、0.8mm不足。1/72でこの数値は大きいと思う。風防の幅は合っている。キットはそこから後席キャノピの中程までがほとんど左右平行で、そこから折れ曲がって後すぼまりになる。この折れ曲がり方も実機と違うから違和感がある。

 風防の部品分割も不満。本機のように下辺に窓枠がない機体では、風防の接着跡が透明部を通して丸見え。ここはタミヤ1/48トムキャットやエアのブリファンのように、胴体と一体にして欲しかった。ショートノーズとの風防の形状違いに関しては、部品分割から見て認識されていると思われる。私の図面&記事が役に立ったかな?

 コクピット付近の胴体平面形は、側面が一直線なのが正しいが、キットは緩いカーブが入っている。エンジンインテイクは先端が丸く絞られ、インテイクベーンは薄い。後部胴体は、FS360(脚収容部)付近が狭められ、コークボトル状。実機は左右平行な直線で、インテイクの広がりで人間の目にはコークボトルに錯覚されるのだが。実機の胴体中央部側面は、裾がわずかに絞られるが、キットは垂直。

 翼関係は、基本形状が不正確。主翼は、外翼が厚すぎる。内翼の外端での翼厚は、正解1.7mmに対しキットは2.7mmmm、翼厚比だと4.0%のところが6.4%とかなり過大。翼表面の湾曲が強く、超音速機の薄板感がなくて亜音速機みたいな感じ。胴体端の厚さはOK。コードは若干短く、胴体端で1mm弱不足。逆に垂直尾翼は薄く、下端の厚さは正解2.6mmにキット1.6mm。主翼外翼より垂直尾翼の方が薄い。スタビレータの厚さは許容範囲。寸法は3%ほど小さめ。基にした図面が悪すぎたのだろう。この段落 2021/8/1追記

 主翼下面は表現不足。実機はトーションボックスのところで機体中心に峰が立っているが、キットは峰がない。ここは、翼の峰、後方胴体中心の平面、エンジンの膨らみが交錯して、非常に複雑なアンジュレーションなのだ。主翼上面では、タイヤのバルジの膨らみ方に違和感。まあ、これは峰の先端をちょっと削ってやれば修正可能だ。これらはゾウケイと同じ間違い。もしかしてファインはゾウケイを真似たのか? 真似するならエアにすればよかったのに。残念。

 また、部品分割が不満。風防裾を胴体と一体にすべきなのは前述のとおり。胴体背中の合わせもイマイチで、丁寧な擦り合わせが必要(後日追記。金型改修され合わせが改善された)。ジェットノズル後方の無塗装部を別パーツにしたため、整形の手間が増え、分割ラインも単純化されてしまった(どう違うかは図面を参照)。ノズル前方の無塗装部の別パーツは、C/D型と胴体パーツを共通にするためだが、C/D、B、J型は胴体のパネルラインが一部異なるので、要修正となる。なお、EJ/Eとしても、後部胴体のパネルラインは一部異なる。正解は拙図面を参照されたし。

 モールドは好みの世界とはいえ、私には不満。ノズル後方胴体の段差は無くてもいいかな。凸モールドの一部は、接着&整形のややこしい所にあって邪魔。胴体はインテイクなどの接着後のパネルライン再生が必須だが、キットのスジボリは繊細過ぎて再生が難しい。タミヤファントムくらいの太さだったら嬉しいのに。まあ、ここらは個人的意見。

 言葉だけでは説明不足なので図面を見ていただこう。黒は実機。赤のファインは、キットを実測して線を引いている(2021/7図面差し替え&追加)。ただし実機との違いを認識したものだけを表現してあるので、もしかすると他にも違いがあるかも。私の図面に関しては、
図面ページに詳しく解説してある。未読の方はぜひご一読いただきたい。その他のキット評はこちらで。




実機。キャノピの平面形に注意。現状でこれが反映されているキットは、エア72ブリファンとモノグラム(48、72)のみ。インテイク前端が丸いのは、正面形における側面カーブが図に表れているためで、水平面で切った断面で見れば側面はこんなにカーブしていないので念のため。

キット。図面のページで指摘した「よくある間違い」とよく似ている。

重ね合わせ。インテイクベーン付近の胴体幅、インテイク部の最大幅に関しては、キットと実機は同じだが、インテイク開口部は内側に寄っている。そのため、インテイク先端部分が内側に丸くカーブしている。





FS132.2(後席キャノピ前端より少し後ろのあたり)の断面で比較。キットの各部の高さに関しては実機どおりとの仮定で作図。

これは実機の断面。それぞれ、単体で見ると違いはあまり分からないかもしれない。

キット。胴体が狭い分だけインテイクが中に寄っているので、あまり違和感ない。しわ寄せはキャノピ幅に出ている。


私の言っていることが信じられない人にはこちらを見ていただこう。



キャノピの平面形がよく分かる。画像はブリファンなので、風防やインテイクは異なる。

こちらはF型。前後キャノピの幅はこんなに違うのだ。


 胴体後部の断面形の違いはこんな感じ。黒の実機はマクダネル社の製造図面のトレース。キットの赤線はあくまで実機との比較のイメージ。矢印部分のクビレが強い。





 美点にも触れないといけない。ライバルはハセになるけど、アドバンテージは、風防がロングノーズらしく短くなり、それに伴い機首側面形が改善、インテイク内部の再現、コクピットなどのディテール、といったところ。外形のアドバンテージが少ないのは、ハセとゾウケイのミスをそのまま踏襲しているから。組立て難度はハセといい勝負かな。

 噂では、ファインは全型式展開するそうだが、できればキャノピと機首だけは改設計してほしいところ。ついでに、私ならこう設計する、と妄想。機首と胴体は完全な左右分割にする。型式展開をするなら、機首は別パーツでもいいかも。この場合はハセと同じくFS249.65で分割。胴体後部は分割してはいけない。型式の違いは、贅沢にまっさら別パーツで表現したい。コストが厳しければ金型コマ差し替えはありかも。共通パーツにするなら、パネルラインの違いは、全部彫っておいてモデラーが不要を埋める。

 キャノピは、コストが許せばスライド型でΩ断面を再現したい。風防は当然胴体と一体。主翼は完全な上下分割。後縁の厚みは不可避だが、ここはモデラーが自ら削るべき箇所だ。こうすることで、前後フラップの境目の段差・隙間の整形が不要となるから、製作の手間は逆に少なくなる。もちろん、フラップは別パーツにせず一体とする。垂直尾翼は左右完全に一体か完全なる左右分割かのどちらか。

 型式によってアンテナやセンサーなどの小突起のバリエーションが多いが、ハセのようにパーツを細かく分割するのではなく、基本のパーツから突起を削るか付け加えるかで再現する。インテイクベーンは、モールドなしにしてアミ点のデカール表現。下地色の明度に応じて明るいのから暗いのまで3種類。

 後日追記。九州方面のご厚意で、ファインモールドの社長に私の思いを伝えることができた。とても嬉しい。関係各位に感謝。今後の同社の展開に期待大大大だ。

 さらに追記。ショートノーズはキャノピ全体が新規設計でイメージばっちり。こちらは、F-4E製作記参照。




■ 図面

 解説は、図面ページに記載しているので、そちらを参照されたし。ただし、訂正のたびに追記してるので、解説はあちこちバラバラになってる。図面は告知なく改訂する場合があるので、使用の際は最新バージョンを確認されたし。なお、一部のブラウザ(クロームとか)は、履歴を削除しないと新バージョンが表示されないので注意。

F-4C 側面図

F-4C 上面図

F-4C 下面図

F-4C 断面図

F-4C 正面図

F-4C コンター


FG.1 側面図

FG.1 上面図

FG.1 下面図

FG.1 断面図

FG.1 コンター


F-4E 側面図

F-4E 上面図

F-4E 下面図

F-4E 断面図

F-4E コンター


RF-4C 側面図

RF-4C 上面図

RF-4C 下面図

RF-4C 断面図

RF-4C コンター(1)

RF-4C コンター(2)


F-4EJ改 側面図

F-4EJ改 上面図

F-4EJ改 下面図

F-4J 側面図

F-4J 上面図

F-4J 下面図





■ 参考文献

 参考文献はこちらに記載。



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